有言実行を掲げる国際看護師みーやんのblog

英語力0から始めた国際人への奮闘 オーストラリアで看護師になるまでの波乱万丈の旅路と日常 をえがく

救命センターの薬物中毒、アルコール中毒の実態

Hello everyone! こんにちは

有言実行を掲げる国際看護師こと、みーやんです。

 

さてさて、

今日は午後勤から帰ってきて夜中に書いてます。

 

今日は以前勤めていた病院の救命センターについてお話しますー。

 

とにかく忙しい病院だった・・・まず、ほとんど座る時間なし。ぶっつづけでどんどん患者が入ってくるそんな病院でした。しかもその患者には一癖も二癖もある。

 

場所が、シドニーのど真ん中にあったのと、シドニーに住んでいる人ならだれもが知っている繁華街にあったため、

 

患者さんの色が濃い濃い。。

 

どう濃いかというと、

 

  • ホームレスさん
  • 薬物中毒
  • アルコール中毒
  • 酔っ払いの転倒・暴行による外傷
  • ホームレスさんの薬中の蜂窩織炎(汚染した針を使用したことによる)
  • セックスワーカーさんの色々
  • 急性期の精神病
  • 自殺企図 などなど

普通の患者さんももちろんくるが、こっち系のちょっと一癖も二癖もある人達が沢山くる。

そして、けっこう常連さんのため顔見知りになったりする、、

 

なかでも多いのが、薬物中毒とアルコール中毒/泥酔+薬物

その病院にはアルコールリハビリ病棟やホームレスに対するケアに力を入れていたこともあり、沢山のサポートを得られる場所でもある。

 

薬物中毒の実態

日本の救命で働いていた時も、”薬物中毒’の患者さんは何度もみていたけれど、日本のそれとは全然ちがった。

日本の”薬中”はだいたい、若い年齢(20-30代)精神疾患を持っていて自殺企図からの過量服薬でやってきた患者さんばかりだった。シドニーの病院はハードコアな薬物(私たちはrecreation drugsと呼んでいる)を使用してハイになった人や、意識障害、それによる転倒からの怪我や、暴行による怪我などのケースが沢山あるため、すべての患者にする質問がある。

Do you use recreational drugs or substances?

Do you take alcohol daily bases If so, how much do you drink? 

Have you experienced alcohol/ drug withdrawal symptoms or sezures ?

この質問をすべての患者にルーチンのように聞くことになっていて、それは初めて働きだしたころ衝撃を受けたことの一つだ。これを聞くことで、現在みられている症状に隠された誘因や起こりうる症状を防ぐことができるからだ。

もし、患者が毎日ある一定量以上(オーストラリアは2standard drinks をこのある一定量として定めている)アルコールを飲んでいると、それを止めた場合、アルコール離脱症状 *1 が現れる可能性があるのだ。

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standard drinks

 

話は薬物に戻って、 

薬物ーRecreational drugsがなにかおさらいさせてもらう。

ようは、気分をよくさせてくれるために接種する科学性物質とされているが(医療目的で使われる場合は含まれない)としている、多くみられるのは

覚せい剤(メタアンフェタミン、スピード、アイス)それそれ色々な形態で出回っているらしく、静脈注射、経口、吸入、吸煙 などありとあらゆる方法で接種する。

このアイスというのが一番の曲者で、覚せい剤の一種だが、純度がとても悪い(様々な混合物が入っている)ため、厄介な副作用がある。度重なる接種により、歯、歯茎はボロボロになり、注射跡はもちろん肌は一気に衰え、髪も抜け、それはそれは散々な状況になる。それでも多くの人がこれにテを出すのは、アンフェタミンのような純度の高いものと同じような恍惚感が得られるのに対して、とても安いそう。

20代の患者で薬中のリハビリから逃げ出して、道端で意識不明で運ばれてきた人を担当したことがあるが、20代とは思えない 肌質、髪、そして歯がない。

その患者さんは結局大暴れして警備員を呼んだが遅く、脱走していった。

 

ちなみにそういったケースが沢山来るため、警察官の付き添いも沢山。この件を担当した警察官によると、この脱走していった患者は道端で意識障害(drug使用により)で発見され他の病院へ送られていったそう。

 

他にも、ヘロイン、コカイン、エクスタシー、マリファナ、マジカルマッシュルームなど

色々なものが出回っており、夏のフェスが近くのスタジアムなどである週末などには、それらの過量接種により心肺停止になって運ばれてくるケースも少なくない。

 

さらに年齢も様々で、長年ドラックにかかわっているひとは本当に慢性的に使用しているため普通に幅広い年齢層がドラック、アルコール関連で運ばれてくる。

 

アルコール中毒の実態

アルコールは身近なものなだけになにがそんなに悪いのかという感じもあるが、日本人の酔っ払いは今思うと平和なもんだ。よく酔っぱらって駅で寝ているおっさんなど日本ではよく見かけるくらい日本にもアルコール文化は存在する。が、勝手によっぱらっている分では問題ないだろう。(もちろんアルコール中毒などの問題がないわけではないけど。。。)

 

これはあくまで、私の一個人の感想だが、オーストラリア人は飲むときはとことん飲む。飲める量も半端ない気がするが、外交的な性格の人が多いせいか、よくアルコールによって引き起こされる喧嘩など跡を絶たない。数年前に、普通に道を歩いていた男性がアルコールを飲み、我を忘れた加害者(赤の他人)に殴られ、死亡したケースがあった。この被害者の男性は全く予期せぬ状況で無防備であったため、一発のパンチによって転倒、頭部打撲ー死亡した。

 

このような事件が数件ったり、様々な要因が重なった理由から、シドニー市内の繁華街のすべてのパブ、居酒屋系、クラブなどのお店が午前0時以降のアルコールの販売が禁止、閉店時間の制限などが決められたロックアウト法が制定になったくらいだ。つい最近、酒類提供類店の経済的影響が膨大だったことを考慮しその規制の廃止(あるエリアを除き)が発表されたが、コロナ突入してしまった今はそれもこれもないわけだが。。

 

そのロックアウト法によって、かなりの暴行事件、死亡事件が阻止されたことは言うまでもなく、当時を知る看護師達が口をそろえて言うのは、「ロックアウト法の前は酔っ払いがお互い、殴り合いに、血を流して診療を求めてくる人で待合室はごった返していたから、この法律のおかげでかなり良くなった」と。そのくらいアルコール、ドラックによる暴行、傷害事件はたくさんあり、そのしわ寄せは病院職員、救急隊にくるわけだ。そして最終的に純粋に病気の悪化やケガで治療が必要としているひとが 気持ちよく、効率よく医療を受けられないという悪循環。

 

その落ち着いた状況と言われる、私のいた当時でも金土曜日、クリスマス、年末、などの大きなイベントがあるときも追加のベットを準備しての対応をしていた。

 

その経験のおかげで、ドラック、アルコール関係、の対応はしっかり学ばせてもらった。現在の救命は私立のため、そのような患者が全く来ないのだが、救命で働いていくなら避けては通れない分野の看護でもあると思う。

 

実際、そこに陥ってしまった患者さんの多くは色々な育った環境、家庭内暴力、家族問題、レイプ、性的暴行、いじめ、会社でのトラブル、リストラ、破産、恋愛のブレイクダウン、大切な人の死など危機的なライフイベントを経てそうなってしまったわけで、だれにでも起きうることなのだ。

 

だから、自分は違うとか、特別なものという認識でかかわるのは間違っていると思っている。

多くの人は対応次第で、過剰な鎮静剤や、抑制などをつかわず対応できている。また、それを推進しようとしている看護師、医師をいっぱい見てきて、本当にすごいなーと思った。

 

何度も何度も同じ問題で戻ってきては、リハビリに入って今度こそはドラック、アルコール依存を克服したいと訴え、リハビリに入ったはいいが、脱走して同じように薬中/アル中で運び込まれてくるという負のサイクルにはまっている人は多くいる中、克服している人たちもいるという事。その状態を続けていくには一生涯のサポートが医療から、周りからも必要になってくることを忘れてはいけないと思う。

 

それでは!また!

See you and have a wonderful day! 

*1:アルコール離脱症状:不安感、手足の震え、イライラ感、発汗、頭痛、吐き気など